患者さんにお願いしたいこと

いつでも・どこでも・誰でも歯科医療を受けることができます。逆に、われわれ歯科医は患者さんをより好みすることはできません。つまり、患者さん自身に歯科医を選ぶ権利があるということです。

われわれ歯科医は、常に良質な歯科医療を患者さんに提供することを心がけています。それを更に、より良いものにするためには、お互いの信頼関係を確立することが大切です。そこで患者さんとのより深い信頼関係のもとで、歯科医療を進めていく上で、歯科医として患者さんにお願いしたいことがあります。心当たりのある方は、ぜひ明日から気をつけてみて下さい。

まず最初にお願いしたいことは、「来院する前に、エチケットとして歯を磨いてきて欲しい」ということです。口の中には一億とも二億とも言われるくらい多くの菌が存在しています。その 細菌がプラーク(歯垢)を栄養としてどんどん増殖してい きます。そんな口の中に歯科医は手を入れて治療をしていくのです。いくら専門家といえども抵抗がないわけではありません。また、小さな虫歯や歯肉炎を見逃したりすることもあります。歯科医も普通の人間です。できるだけきれいな環境の中で良質な仕事がしたいと願っています。仕事や家事の合間をぬって来院される方が多いと思いますが、会社や自宅で磨けなければ、歯科医院の洗面所や 治療台、待合室での時間を利用して磨いていただいても結構です。歯ブラシを持ち歩く習慣をぜひ付けてほしいものです。

次に、身だしなみに気を遣う女性の方に多いのですが、口紅や香水を付けて来院されることです。口紅は口の中を診察するので、お気づきの方も多いと思います。それと、神経を取った時などにその神経が化膿していたかを判断するために臭いをかぐことがあります。香水や整髪料が強いと、こうした判断を誤ることがありますので、歯科医院を受診される前に、口紅と香水、整髪料には気をつけてください。

(「歯の話」から改編)

治療は途中でやめないで

ムシ歯などで歯が痛くなった時は、なにがなんでも痛みを無くしてもらおうと歯科医院へ受診します。しかし、この痛みが一旦治まると忙しさにかまけて歯科医院へ足を運ぶのが遠のいてしまいます。もし、あなたが応急処置だけで、このようなことを繰り返していたとしたら大変残念な結果を招いてしまいます。早めの治療であれば、ムシ歯の部分を取り除き詰め物をしたり冠をかぶせて噛(か)めるようにできたはずの歯が、長い間放置したために、次には歯の神経を取る治療になったり、場合によっては歯を抜くことになったりします。早期の治療であれば通院回数が少なくてすみます。また、噛めない歯があっては、あなたの体の健康を損ね仕事にも影響します。治療の中断はなにかにつけてマイナス面が多すぎますので極力避けましょう。

歯医者嫌いなんです

「私、歯医者嫌いなんです」と言う方が、比較的若い方に、時々いらっしゃいます。この方の口の中を診(み)てみると、根だけになっていて、もう抜かないと治療ができない歯があちこちにあることがあります。「ちょっと痛いが、もう少し後でいいか」と思って放置しておくと、「なんだかズキズキ痛いなぁ」に変わってきます。そして、痛いのを我慢し続けていると、「治療はもっと痛いのではないか」と錯覚してしまうようになってしまうのです。早期に治療を受ければ、治療時間や通院回数が少なくて済みます。何か気になることがあればもちろんのこと、半年に1度は健診を受けましょう。

病院の歯医者さん(その1)

総合病院へ行くと診療科の一覧の中に「歯科口腔外科」という標榜がある病院があります。春日井市では、春日井市民病院、東海記念病院、名古屋徳洲会総合病院に歯科口腔外科が開設されていて。春日井歯科医師会や近接する歯科医師会と協力して診療を行っています。さて、歯科口腔外科とはなにをするところでしょうか?開業している歯科医院とどこが違うのでしょうか?一番の違いは病院ですから入院の設備があることです。ですから、歯が炎症原因の炎症で口が開かなくなって食事をとることもできないような場合には、開業医の先生から歯科口腔外科でご紹介される場合があります。このように、街の歯医者さんとは少し違った仕事をしています。(以下、続く)

治療が終わったのに予約?「お口の健康と歯の話」

「ムシ歯の詰め物も、歯ぐきの処置も終っています」と言われたのに、また次回の診療の予約をとるようにいわれました。どうしてなのでしょうか?

このような疑問をもたれた患者さんも少なくないと思われます。患者さんの立場としてのご質問のお気持ちはよく分かります。答えになるか分かりませんが、近ごろ一般の医療では延命からQOL(生活の質)へと、その目的や目指すべき方向が少し広くなってきています。たとえば病気の治療で命は永らえても、いわゆる寝たきりのような状態で良しとするのでなく、患者さんの健やかな生活の維持や向上に、いかにかかわっていくかを問うようになってきています。長命から長寿へというわけです。 歯科でも根っこの部分で同じようなことがいえます。むし歯や歯ぐきの具合が悪く治療を終ったとしても、結果が良いかどうかは歯や歯茎の処置のあと、患者さんのお口の働きなど健康に支障がないか、あるいは向上しているかをチェックする必要があります。そして必要があればさらに適切な処置をします。このような歯科医療が一層望ましい姿となっているわけです。

入れ歯をつくったとしても、それがうまく口の働き(食べる、話す、外観のかたちづくりなど)にかなっているかは、使いながら調整を施し継続的に対処することが常です。詰め物の処置が本当の意味で終ったかどうかは、詰め物がお口の働きの中で具合が悪くないかどうかを診る必要があります。同様に歯茎の治療が終っても、歯茎がどの程度良くなったかなど継続的に診ていく必要があります。患者さんのお口の健康を守るために必要な通院といえるようです。